Case Studiesケーススタディ
スプリングバレーブルワリー
大手メーカーによるクラフトビール分野への参入において、新ブランド開発におけるフラッグシップ店舗の開発計画及び業態開発〜その後の店舗展開まで、総合的な計画サポートを担当致しました。
国内大手のビール出荷量は年々減少 / 米国でのクラフトビールによるマーケット拡大
若者のアルコール離れ、ワインやハイボールなどお酒の選択肢の多様化を背景にビール市場が縮小するなか、 地ビールメーカーの8割は出荷量が増え、ビアフェスは動員数が年々増加するなど、「新しいビールの楽しみ方」が 少しずつ広がっていました。また米国では小規模なクラフトビールメーカーが数多く誕生し、マーケットを徐々に拡大していました。
そのようななか、国内での新たなビールマーケットの創造と、「『自由で楽しい飲み物』『Made of Life:自然からつくられた飲み物』としてビールの可能性を伝えたい!」というキリンビールの想いから本プロジェクトがスタート。弊社はお客様とのタッチポイントになる店舗の業態開発の基本構想及び、店舗プロデュース、その後の展開計画の策定などをお手伝いすることになりました。
クラフトビールを通じた「お客様とのタッチポイント」のあり方とは?
まずは以下のような課題を設定し、クライアントと共有・意見交換を重ねながら、目指すべきブランド像・店舗像を基本構想として取りまとめました。
● キリンビールが「クラフトビール」を通じて発信すべきメッセージとは? それを伝える方法は?
● プロジェクトの軸になるコンセプト、目指すべき方向性は?
● コンセプトを体現し、生活者とのリアルな接点となる「店舗」に求められる機能やデザイン、メニューやサービスのあり方は?
● 新しいクラフトビールの認知を広げながら、同時にブランド価値も維持できる事業展開のあり方は?
クライアントと協働しながら、ブランドコンセプトの確立から事業化(店舗開発)、ブランドの成長を見据えた展開計画まで、計画策定や業態開発、デザインの面から総合的にサポートさせていただきました。
本プロジェクトを通じて伝えるべきメッセージ「KIRIN=ビールが好き!」
新しいプロジェクトのスタートにあたって、リアル店舗の役割を位置づけ。既存の流通の仕組みでは繋がれない作り手とお客様をつなぎ、ダイレクトに思い・世界感・商品を伝える場があるべきであるとプロジェクト方針を設定しました。既存の酒販店、スーパーマーケット、コンビニエンスの売場や、マス広告では伝えられない体感を伴う情報伝達によりクラフトビールの本質・価値を伝えることを目指しました。
2年間におよぶ定例会議を重ねる中で、プロジェクトメンバー全体で伝えるべきメッセージ・プロジェクトの方向性を一致させていきました。
「農業・自然志向」と「情報発信力」を持つ新しいカテゴリーを開拓
従来のビールが「工場で人工的に大量生産」されているイメージなのに対して、本プロジェクトでは、ワインやサードウエーブコーヒーと同様に、「作り手の存在」と「自然素材からできている農産物であること」「新しい食のスタイル」とった価値提供をクラフトビールの世界で目指しました。
また、キリンのビール造りの「歴史・伝統」の伝達と、「新しいビール文化の創造」というミッションから、プロジェクト全体のキーワードを「スプリングバレー」と設定しました。
「スプリングバレー」は明治初期に日本で初めて産業としてビールを継続的に製造した、キリンビールの源流とも言えるブルワリーで、そのパイオニア精神やコミュニティのあり方と、自然志向に基づく「Made of Life」への想いが「スプリングバレー」という言葉に重ね合わせています。
ビールの歴史と未来、異なる役割を2つのフラッグシップのテーマとして提案
SVB東京ではメディア・店舗を通した『先進性=未来』を、SVB横浜では長年培われた『伝統・本質感=歴史』を、フラッグシップ店舗の開発テーマとして設定。特に横浜では、生活者に伝わりにくい「価値」を、本プロジェクトを通じて可視化することも目指しました。
「Made of Life(自然から生まれるビール)」を、より深く楽しみ・体験できる質の高いメニュー構築
メニューの基本的な考え方として、従来のビアガーデンで提供されるようなB級グルメや揚げ物中心のスナックフードではなく、自然志向をあらわす「Made of Life」を体感でき、ワインと同じように料理とのペアリングを楽しめる、上質感のあるメニューを提案しました。あわせて、食器やカトラリー等の備品類の提案・コーディネートも担当し、ビール+食+環境によるトータルな新しい世界感の体験の構築をサポートしました。
店舗環境の基本デザインおよびフラッグシップ店舗の環境デザインを構築
スプリングバレー と生活者との「リアルな接点」として、必要な機能の抽出と基本ゾーニング、環境デザインを構築しました。また、フラッグシップ店舗としてSVB横浜のプランやデザイン、備品やディスプレイのコーディネートも行いました。
認知拡大とブランドイメージの維持、コミュニティの拡大を視野に入れた開発ステップ検討
新しいクラフトビールとしてブランドの認知を高めることは非常に重要ですが、それが一過性のトレンドとして消費されるのではなく、スプリングバレー が提案するビールの新しい楽しみ方が広がり、次代のビール文化として定着するために重要な開発・展開のステップを整理しました。基本構想では店舗開発に合わせた卸売や小売、WEBでの事業展開について検討し、フラッグシップ開店後は、具体的な店舗展開計画の取りまとめを支援しました。
メンバーとの「共有・共感」を重視したプロジェクト進行
「ビールの楽しみ方や可能性を提案・発信する場を創る」というミッション実現のため、クライアントや運営企業様と 一緒に新しいフードカルチャーの発信地であるアメリカ西海岸エリアを調査したり、 サンプルや実寸での検証を多用するなど、メンバーと目指すべき方向性を明確に共有しながらプロジェクトを進めました。
■ 環境デザイン:スプリングバレーブルワリー横浜
「ブランドの根幹・歴史」がテーマのSVB横浜は、醸造設備併設の既存施設をリノベーション。ビール製造に使っていた釜を内装に活か すとともに、ビールの歴史や世界のビール、料理とのペアリングなどを学べるミニライブラリーも設置しています。
■ 店舗開発監修:スプリングバレーブルワリー東京
「ビールの未来」がテーマのSVB東京では店内に醸造設備を備え、シーズナルなど多様な限定ビールを開発・提供。DJブース やワークショップ用の個室など、新しいカルチャー発信や、より深い学び・交流が生まれるスペースも確保しています。
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■ メニュー開発監修/食器・カトラリー、ユニフォーム等のコーディネート
横浜・東京それぞれのメニュー開発に際して、メニュー構成や盛り付け方(プレゼンテーション)の検討、アドバイスなど、総合的にサポートさせていただきました。また、料理に合わせたテーブルコーディネートやスタッフのユニフォームデザイン(コーディネート)も担当しました。
■ コミュニケーションデザイン
メニュー写真の撮影・コーディネートと、メニューブックやオープンフライヤーなどのアプリケーションデザインを担当し、コンセプトの実現を細部に渡るまで構築いたしました。